2008年5月3日(土) 天候 晴のち曇

 朝は6時半に起床した。昨夜は機内食以来食事らしいものを取っていなかったので、ホテルのバイキング朝食をたらふく食した。食後出発の準備を整えホテルを出発した。今日はひとまず台湾東部の花蓮まで行き、そこでレンタルバイクを探してからツーリングを開始する計画である。花蓮は周辺に太魯閣渓谷など見所も多く、ツーリングの出発地点にうってつけだと考えたからだ。(昨晩思いついたのだが・・・)

 台北車站へはホテル前から49系統の路線バス1本で行けるとホテル受付の人に教えてもらった。7時半ころにホテルを出て目の前のバス停から49系統に乗り込んだ。料金も15元でタクシーを利用するよりかなりお得である。ただ降車場所は注意しておかないと乗り過ごしてしまうので車内のLTDに要注意である。何とか無事に8:00前に台北車站に到着し、駅構内の切符売り場へと向かった。受付で花蓮に行く一番早く出る最速の列車の切符を依頼したところ(英語は通じる)、8:19発10:39着の自強号(特急 445元)があるとのことなのですかさずその切符を取得した。

 切符を取得し、地下ホームへ降りるとしばらくして列車がやってきた。列車は太魯閣号という東部幹線での振り子式最新車両(日本製)であり、車体も真新しかった。振り子式列車は東部幹線に多いカーブでも速度をあまり落とさずに走行できるので、これまでと比べ台北〜花蓮間が50分ほど短縮されたという。かなりの時間短縮である。時間となったので列車に乗り込むと、予定時刻どおり列車は出発した。列車は東部海岸沿いをひたすら走った。車窓からの景色がよくしばし眺めていた。途中原住民族テイストの車両を追い越したりしながら予定時刻どおり10:39に花蓮車站に到着した。

 駅に到着すると、駅前にあったナローゲージ時代の車両前で記念撮影をしたあと、早速レンタルバイクショップ探しを開始した。駅前広場をはさんで駅の反対側にホテルとバイクショップらしきものが何件か見えたのでバイクショップに入り、英語と旅の指差し会話帳でバイクレンタルを依頼した。しかしここではレンタルは行っていないとのことで他のショップを紹介された。紹介されたのは「小馬租車集団」というレンタカーショップで、そこでパスポート・日本国内の自動車免許証と、日本出発前に台湾に行くかな?と思いJAFからあらかじめ発行してもらった「中国語による翻訳文」(免許1通につき3300円 送料別)を提示して、レンタルバイクの契約が成立した。レンタルしたのは125ccのスクーターで、最初は1日500元とのことであったが、4日レンタルするということで1日400元(4日1600元)にまけてもらった。

 バイクも無事にレンタルできたので、昼食をとりに早速市内に先ほど借りたバイクで繰り出した。目指すは「液香扁食店」という台湾全土でも有名なワンタンの店である。すこし迷いながらも無事に店に到着し、ワンタン(50元)を注文して料金を支払い店内に入ると大勢の客で賑わっていた。外を見ると行列ができていたので、少し時間が遅ければ行列に並ばなければならないところであった。しばらくするとワンタンが出てきたのですばやく食したがうまかった。満足したところで、隣にいた地元の人に記念撮影をしてもらい、最初の目的地へ向けツーリングを開始した。

 まず向かったのは蘇花公路(省道9号の一部)のルート上にある清水断崖である。蘇花公路は蘇と花蓮を結ぶ幹線道路であり、2000m級の山がそのまま急角度で太平洋まで落ち込んでいる断崖区間を通る。清水断崖はその区間のハイライトである。花蓮を出発して蘇花公路を北上した。台湾の道路は都市部はバイクがあふれていて、最初は走行に神経を使った。しかしながら、少し郊外の道路ではバイク専用レーンが確保されていて非常に走りやすかった。台湾の東海岸は原住民族が多く住んでおり、そのモニュメントもところどころで見受けられた。さらに走行するといよいよ断崖区間に入り、道路も上下2車線で路肩も狭くなった。急カーブ・トンネルなどが連続して続く中をさらに走行し、花蓮から30kmほど走行したところで清水断崖に到着した。路肩の少し広くなっているところにバイクを駐車し記念撮影をした。路肩から下を眺めると、はるか下を鉄道と海岸線が走っており絶景であるが足がすくむ思いであった。このようなところに自由に往来できるのはやはりバイクツーリングならではである。しばらく絶景を眺めたあと、次の目的地に向け出発した。

 次に向かったのは、台湾東部ツーリングでははずせない景勝地である太魯閣渓谷である。蘇花公路を10kmほど戻り、東西横貫公路(中部横貫公路 省道8号)に入った。東西横貫公路の入り口を過ぎるといよいよ太魯閣渓谷である。長春祠→燕子口→錐麓大断崖→天祥の順に見所を巡った。太魯閣は見所が点在しているので、ここでもバイクの機動性を存分に発揮することができた。まずは長春祠に立ち寄った。長春祠には、東西横貫公路の工事中に亡くなった212名の兵士の霊を祀っている。また、祠のすぐ下の岩からは滝(長春瀑布)が流れ落ちている。断崖と祠との組み合わせが絶景である。次の燕子口付近では、道路は断崖をくりぬいた中を通っている。バイクを降りて遊歩道から渓流をはさんだ反対側を眺めると、岸壁に無数の穴があいているのが確認できた。この穴に燕が巣をつくるといわれているが、実際はそうではないらしい。この付近は渓谷の両側が狭く切り立っており迫力満点である。よくぞこのようなところに道路を通したものである。その次の錐麓大断崖では、高さ200mの切り立った大理石の一枚岩の断崖に圧倒されてしまった。太魯閣は台湾のグランドキャニオンと言われているのもまんざらでもないようだ。錐麓大断崖を後にして東西横貫公路を西に走り太魯閣の終点である天祥に到着した。吊り橋の先に見える山の上には、天峰塔が建っていたが、山の上まで上る元気はなかったのでつり橋の前で記念撮影だけをした。時間は16:00を過ぎていた。そろそろ今夜の宿泊地を決めなければならなかったが、天祥に宿泊すると後の日程が苦しくなるので、先を急ぐことにした。5/6には花蓮に戻りレンタルバイクを返却しなければならないが、できれば台湾を1周とまではいかなくても台湾中部を周遊して花蓮に戻りたかった(来た道を戻るのはつまらない)ので、そのまま東西横貫公路を西へ向かうことにした。

 天祥を過ぎると、東西横貫公路は深い山中に入っていった。山中を走ると同時に標高も高くなっていった。本当にこれが省道かと思うくらい道幅も狭くなり、すれ違う車もめったにいなくなった。途中新白楊というところに休憩所があったのでバイクを止め休憩した。休憩所からは雲海を眺めることができた。ずいぶん高いところに来たと思って標識を見ると、標高1644mとなっていた。続いて立ち止まった碧緑神木では標高2150mとなり、大禹嶺では2565mになっていた。辺りも暗くなってきたので先を急ぐことにした。大禹嶺は東西横貫公路(省道8号)と東西横貫公路霧社支線(省道14号甲 台湾では同じ番号が併走する場合などは省道○号甲、省道○号丙などと明記)の分岐点となっているが、東西横貫公路は梨山から先は通行止めとなっているので、東西横貫公路霧社支線を選択した。さらに先を進むとすっかり夜が更けてしまった。私の前にバイクで走っていたので、そのバイクについていく形でひたすら走行した。気温もずいぶんと下がってきて寒さに耐え切れなくなってきたので、休憩所らしきところでレインウェアを着込んだ。

 そのとき、私の少し前を走っていたバイクのライダーが私のところにやってきた。英語で話しかけてきたので、日本から来たこと、レンタルバイクを借りてツーリングをしていることなどを話すとびっくりしていた。まさかこのようなところを日本人がバイクで走行しているとは思わなかったことであろう。そのライダーは台湾人で台中に帰る途中だということであった。台湾人ライダーに展望台らしきところに案内され記念撮影をした。そばに建立されている碑を見て驚いてしまった。私はいつの間にか標高3275mの武嶺というところまで上ってきてしまったようであった。以前走行した乗鞍スカイラインの畳平の2702mよりも高いところを、スクーターで走行してしまったのである。私のバイク生活で最も標高の高いところを走ったことになった。近くには合歡山があり、昼間であれば見ることができたという。時刻は19:00になろうとしていたので、先を急ぐべく出発した。慣れない夜道であるので台湾人ライダーについていくことにした。1時間ほど走行すると霧社に到着した。私は疲れていたのでここに宿泊することを台湾人ライダーに伝えた。彼は警察署に入りいろいろとたずねてくれたが、このあたりは宿が少なく泊まれないかもしれないと言った。そこで私はガイドブックに乗っている近くの町である埔里に行きたいと伝えたところ、そこなら泊まれるだろうということだったので、今夜は埔里に宿泊することに決めた。さらに40分ほど走行すると、ようやく街明かりが見えてきて埔里が近くなってきたことを実感した。

 しばらくすると街中に入った。台湾人ライダーは道路沿いにあるホテルにバイクを駐車し交渉を始めた。せっかくの親切ではあるが、値段が1500元ということで断った。私はガイドブックにあるホテルに泊まりたい旨を伝えると、ホテル(東峰大旅社 700元)まで案内してくれた。値段交渉をしてくれたのでスムーズに宿は決定した。台湾人ライダーのブログを渡され、記念撮影をして彼は台中へ帰っていった。道案内からホテル案内までしてくれるとは、台湾人は実に親切であると実感した。

 ホテルに荷物を置き街中に繰り出した。中正路を歩き忠孝路との交差点付近にある食堂に入り、焼きそば(70元)を注文した。私が日本人であると分かると、サービスとして貝入りのスープをおまけしてくれた。花蓮から全く食事を取っていなかったのでこのサービスは大変喜ばしかった。すっかり満足してホテルに帰り、シャワーを浴びて就寝した。

(走行距離:210.1km)

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