2008年9月22日(月) 天候 曇のち暴風雨のち雨

 朝は6:00に起床した。今日は台湾最南端を目指す予定である。部屋で朝風呂に入り、ホテルのレストランで朝食を食した。食後露天風呂に再度入りさっぱりしたところで8:00過ぎにホテルをチェックアウトした。

 まずはホテルから程近い四重渓温泉浴室で再度温泉に入ることにした。ここは無料の公共温泉で、台湾では珍しく水着無しで入る形になっている。先客が一人入っているだけで広々と風呂に浸かることができた。私の求めていた、日本のスタイルで入る公衆浴場が見つかって何よりであった。温泉を堪能した後、四重渓温泉から県道199号を10分足らずのところにある石門古戦場に向かった。石門古戦場は、1871年に漂着した琉球の民が台湾原住民に殺害された(牡丹社事件)のを受け、1873年に西郷従道率いる日本軍と台湾原住民との戦い(征台の役)があったところである。駐車場にバイクを停め、階段を登った丘の上に祈念碑が建立されている。丘の上からは四重渓温泉の街並みが眺めることが出来た。しばらく景色を眺めた後、台湾最南端に向け出発した。

 県道199号を車城まで戻り、車城から省道26号を南下した、9:00過ぎに台湾最南端の町である恒春に到着した。恒春には1873年の牡丹社事件に衝撃を受けた清国が、この地域の防御のために建設した城壁と城門が残っている。私は当然バイクで西→北→東→南の順で城門をめぐり全ての城門を制覇した。東門には「清光緒元年季秋月」という文字が確認できた。光緒元年(1876年)ということは、恐らく東門が完成した時期と考えられる。恒春の街並みなどを見学したあと、恒春から県道200号で程近いところにある出火に向かった。出火では地表に漏れた地下の天然ガスが燃えている光景を見ることができ、そのまま地名にもなっている。駐車場にバイクを停め階段を下りると、石が転がっている平地の所々から火が燃えている光景を目にすることが出来た。火が燃えている辺りのあちこちにバーベキュー?や花火?などをしたあとと思われるゴミが残っていた。しばらくこの不思議な光景を眺めたあと出火を後にした

 県道200号から再び省道26号に戻り南下を続けた。懇丁に入るころになると雨が降り出した。台風14号がまさに台湾南部を直撃している最中であり、今日の台湾最南端ツーリングは台風に向かって進んでいくようなものであった。セブンイレブンがあったので避難してレインウェアを着込み、暴風雨の中を再び出発した。顔に雨がぶつかり目を開けるのも苦しかったが、何とか11:00過ぎに台湾最南端の鵝鑾鼻に到着した。

 駐車場にバイクを停め(10元)、入り口で入場料(40元)を支払い中に入った。丘の上にある灯台を目指し坂を上ると、芝生の原っぱが眼前に現れた。また、灯台と反対側にはバジー海峡が広がり、遠くには円錐状の大円山もうっすらと見えた。さすが台湾八景に数えられるだけのことはある風景だ。景色は大変良かったが如何せん風が強く肌寒かった。続いて灯台で記念撮影をしてから、園内の遊歩道を散策することにした。鵝鑾鼻にはサンゴ礁石灰岩でできたいろいろな奇岩や洞窟などがあり、熱帯性植物が生い茂る中を歩いた。奇岩のひとつである吻親石などで記念撮影をして歩き回り、展望台から強風で荒れるバジー海峡を眺めた。まさに台湾最南端を制覇した瞬間であった。歩き回って疲れてきたので戻ることにした。駐車場に戻り鵝鑾鼻を後にした。

 雨が小康状態となっていたので、一旦船帆石まで戻り記念撮影をしたあと、省道26号を来た道とは反対方向に進んだ。坑仔内で記念撮影をしたが風が強くて立っているのがやっとであった。背後にはレーダーらしきものがあったが風が強かったので次に進むことにした。省道26号は海沿いを通っているので、バイクに乗っていても横風が強くスピードを出すことが出来なかった。続いて風吹沙で記念撮影をした。風吹沙は砂浜の砂が海風より地上に吹き上げられる現象が見られるところであるが、生憎の雨で砂が水を含んでしまい砂が吹き上げられる現象を見ることができなかった。海を見ると強風で荒れているのが目に見えてわかった。強風で進行を阻まれながらも何とか省道26号と県道200号甲の分岐点にたどり着いた。省道26号はこの分岐点から2kmほどで行き止まりなので県道200号甲に入り、さらに県道200号を恒春方面に進んで、14:00過ぎに恒春に戻ってきた。朝食以来何も食していなかったので昼食を取ることにした。街中で食事の出来るところを探していると、「屏東牛」という文字が目に飛び込んできたので、思わず店に入ってしまった。店の名刺を見る限り店名も屏東牛」というらしく、百年老店と書いていたので歴史ある老舗なのかもしれない。席に座り牛肉麺と白飯(80+10=90元)を注文した。しばらくして出てきた牛肉麺と白飯をすばやく食した。冷えた体には非常に有難かった。食後しばらく休憩して落ち着いたところで出発することにした。

 時刻は15:00を回ろうとしていた。台湾南部は台風が直撃していたので、リスク回避のために早めに台北に脱出したかった。よって、雨が降ったり止んだりであったが高雄に戻ることにした。省道26号をひたすら北上したが、途中雨風が強くなってきて目を開けるのもつらかった。省道26号から楓港で省道1号に変わり、さらに走り続け枋山という町に到達した。このまま走り続けるだけではつまらないと思い地図を見ると、枋山には台湾鉄道の南廻線が通っており、台湾最南端の駅があることがわかったので立ち寄ることにした。やはりライダーは「○○最南端」等を見ると行かずにはいられないものである。省道1号から脇道に入り、少し先に見える線路に向かい坂を上っていくと駅舎が眼前に現れた。遂に台湾最南端の駅である「枋山站(駅)」を制覇した。駅舎は立派だが、町とは離れているため利用者が少ないのであろう。無人駅となっていた。さらに時刻表を見ると上下各2本ずつしか停車しないようになっていた。もう少し駅の場所を考えても良かったのではないかと思わされたが、南廻線は高雄・屏東と台東という都市間を結ぶことが主目的であると考えられるので、枋山駅のことはあまり深く考えられなかったのかもしれない。何はともあれ、折角台湾最南端駅に到達したので雨の中ではあったが記念撮影をして、駅を後にした。

 相変わらずの雨であったが、なるべく早く高雄に戻るべくひたすら走行した。省道1号は台湾鉄道と平行しているので、線路を眺めながら走行した。途中嘉和トンネルで記念撮影をした。嘉和トンネルは、近くにある軍の射撃演習場に対して列車の安全を確保するため、約1kmに渡り線路を覆っている形で建造されたものである。さらに走行し東海で省道17号に入った。とにかく高雄に到達したい思いで、雨の中をひたすら走行した。高雄に近づくにつれバイクの台数が多くなってきた。高雄市に入るとすっかりバイクの群れに入り込んでしまった。最後の最後で台湾名物であるバイク軍団の一員になってしまった。バイク軍団に巻き込まれながら、18:00過ぎにようやく高雄駅前のレンタルバイクショップに戻ってきた。

 バイクを無事返却し、レインウェアを脱いで身軽になったところで台北行きの新幹線の時刻を確認すると、左栄21:00発・台北23:00着の便を見つけた。左栄駅までは、高雄駅からMRT紅線で10分ほどで行くことができる。よって、2時間ほどではあるが高雄観光ができることになったので、高雄で最も有名夜市である六合夜市に繰り出すことにした。六合夜市へはMRT紅線で高雄駅から一駅の美麗島駅から地上に出てすぐたどり着いた。六合夜市は台北の士林夜市と並ぶ有名な夜市だけあり、平日にもかかわらず噂に違わぬ盛況ぶりであった。特に海鮮とフルーツジュースの屋台が多く見受けられた。屋台の数が多いためつい目移りしてしまい、どの屋台にするか大いに迷ってしまった。迷っていたときに「高雄東山鴨頭」という屋台が目に飛び込んできた。鴨の頭のから揚げ?が売りのようであった。屋台に掲示されている雑誌の切抜きなどを見たところ、TVでも紹介されたことのある有名な屋台らしい。早速鴨頭(60元)を注文し食した。カリッとしていてうまかった。続いて「高雄東山鴨頭」の隣の屋台で●魚麺(●は魚へんに善)を食した(70元)。「●魚麺」とは田うなぎのあんかけ麺のことである。鴨頭と●魚麺を食し満足してまったりしていたところ、雨がまた降り出してきたので撤収して美麗島駅に戻ることにした。途中さとうきびジュース(40元)で水分を補給して、20:00頃に美麗島駅に戻ってきて、MRT紅線で左栄駅に向かった。

 左栄駅へは20:20頃に到着した。新幹線のチケット売り場へ行き、片言の英語で21:00発のチケットを入手した。この日は平日であったため、休日に比べ300元も安い1190元であった。月台(プラットホーム)に入ると、白とオレンジのツートンカラーの車両が停車していた。日本の700系新幹線をベースにしているということである。折角なので記念撮影をしてから乗車した。室内も座席をはじめ日本の新幹線そのものであった。そうこうしているうちに定刻どおり新幹線は出発した。私の乗車した列車番号490(日本で言う「のぞみ57」「こだま591」などのようなもの)は左栄→台南→嘉義→台中→新竹→桃園→板橋の順で各駅に停車する。平日で各駅停車列車ということもあり車内は空いていた。夜であり景色は望めなかったが都市部の夜景を眺めているうちに列車は板橋に近づく辺りから地下に入り、そのまま地下を走行して定刻どおりの23:00に台北駅に到着した。時間も遅いこともあり、今夜の宿は台北駅周辺で探すことにした。探し回るのも面倒なので、国光客運台北バスターミナル西站から程近い、今年5月にも宿泊した「華美大飯店」(1200元)にチェックインした。この日は一日中バイクで走り回ったり歩き回ったりして疲れ果てていたので、シャワーを浴びて0:00過ぎに就寝した。

(走行距離:188.4km)

TOPへ

9/21へ

9/23へ